2002年8月31日(土)「しんぶん赤旗」
日本道路公団などの民営化、採算性確保を審議してきた道路関係四公団民営化推進委員会(委員長・今井敬新日鉄会長)は三十日、審議の「中間整理」を小泉純一郎首相に提出しました。「国民全体にメリットのある改革を実現するのが民営化の目的」としているものの、「五十年を上限として」債務返済をするなどムダな高速道路の建設を可能にしたり、国民負担・自治体負担をあらたにふやす仕組みを織り込んでいます。
新たに設立する保有・債務返済機構は、四公団の道路資産と約四十兆円の債務を引き継ぐ公的法人。民営化した会社は同機構から道路を借りて、利用者からの料金を徴収、機構にリース料を払います。
しかし、新規建設は「凍結を含む再検討」といいながら、民営会社が新規路線を建設するさいは、足りなければ「機構からの資金の支出、国・地方からの資金負担等が考えられる」と、借金の返済に回す資金の横流しや税金の投入も認めています。
公的な保有機構から建設資金が回ることについて、一部委員から「歯止めがないといわれた」など懸念がだされ、一部表現を修正したものの、枠組みは変わっていません。
首都高速、阪神高速が道路を建設するときは「国及び地方公共団体の費用負担」の新ルールをつくるとか、本州四国連絡橋公団の累積債務は国と「関係地方公共団体の負担」で処理することを明記しています。
小泉首相は今井委員長にたいし「閣議決定にそってさらに議論をすすめてほしい。結論がでたらそれを尊重して実行する」とのべました。