2002年9月2日(月)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 温暖化問題の話題でときどき出てくるIPCCとは、どういう国際機関ですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とは、気候変動の原因や影響について、最新の科学的・技術的・社会的な知見を集約し、評価や助言をおこなっている国際機関です。IPCCが発表する報告書の知見や数値資料などは、温暖化ガス削減目標を定めた京都議定書の基礎にもなるなど、国際的に重視されています。
IPCCは国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が共催する国際機関として一九八八年に設立されました。各国政府が参加し協議する「政府間パネル」ですが、政府関係者のほか、多数の科学者も参加しています。三つの作業部会からなり、第一作業部会は気候システムや気候変動の評価、第二作業部会は気候変動が社会経済や生態系に及ぼす影響の評価、第三部会は温暖化ガス削減など気候変動の影響緩和策の評価をしています。
IPCCの第一次評価報告書は一九九〇年に発表されました。これまでの気候変動にかんする知見を集大成し、温暖化ガスが削減されなければ、二十一世紀末までに平均気温が三度程度上昇し、海面が三十センチ―一メートル上昇するなどの予測を示し、温暖化ガスを60%削減する必要があるとしました。
一九九五年にまとめられた第二次評価報告書は、二酸化炭素の温暖化寄与度がもっとも高いことを確認、二酸化炭素の大気中濃度を現在の二倍に抑えるとしても、一九九〇年よりも排出量を抑える必要があることを示しました。
二〇〇一年の第三次評価報告書は、この間に充実された観測成果をふまえ、人間活動による温暖化ガスなどの排出のさまざまなシナリオをシミュレーションし、二一〇〇年までに一九九〇年にくらべ一・四度〜五・八度の気温上昇、九センチ〜八十八センチの海面水位上昇となることを予測しています。
(水)
〔2002・9・1(日)〕