日本共産党

2002年9月4日(水)「しんぶん赤旗」

原発事故隠し 監視体制の現状は?


 〈問い〉 東京電力の原発事故隠しでは、国の監視体制にも不安を覚えましたが、どうなっているのですか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 八月に発表された東京電力の十数年にわたる原発事故隠しは、大きな衝撃を与えています。事故隠しを発表した原子力安全・保安院も、二〇〇〇年七月の告発から二年間も発表しなかったことや、ひび割れや磨耗など未修理・未交換の原発を八基も残しながら運転継続を認めるなど、不透明な対応で不信を増幅しています。

 原子力安全・保安院は、原子力の安全対策にあたる部門とされていますが、原子力発電を推進している経済産業省の一部局です。同省は、原発の増設や、原発の危険をさらに大きくする「プルサーマル計画」を推進しています。保安院の役割は、こうした経産省の原発推進政策のわく内のものであり、思いきった安全対策をとることはできません。

 世界の多くの国では、原子力の安全を確保する規制機関は、原発の推進機関とは分離されています。たとえばイギリスでは保健省、ドイツでは環境省、アメリカでは独立した行政機関である原子力規制委員会などです。一九八八年に国際原子力機関(IAEA)が定めた「原子力発電の安全基準」や、九四年に日本も調印した「原子力の安全に関する条約」も、原発の推進機関から分離・独立した規制機関を求めています。ところが日本には、こうした機関がありません。

 政府は、内閣府にある原子力安全委員会が「ダブルチェック」するからと、合理化しています。しかし同委員会は、強制力のない「勧告」や認可のさいの補助的な権限しかなく、国際条約が「規制機関」として求める、原子力施設に「許可を付与する」法的権限はありません。約二百人の専門委員もほとんどが非常勤です。原子力安全委員会が発表した二〇〇一年版『原子力安全白書』では、プルサーマルの安全性を強調するなど、経済産業省の主張を追認しています。

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 〔2002・9・4(水)〕

 


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