2002年9月10日(火)「しんぶん赤旗」
介護保険制度は来年四月、三年に一度の見直し時期を迎えますが、厚生労働省は来年度予算の概算要求で、国民の強い反対にもかかわらず、見直しの一環として介護保険料値上げを見込んだ国庫負担を計上しました。医療、年金、雇用と合わせて新たな国民負担を強いるものです。
保険料のうち、六十五歳以上の分は市町村が集めます。厚労省が集計した各市町村の来年四月からの見直し保険料は、全国平均で月三千二百四十一円。現行比11%増、一カ月あたり三百三十円上がることになります。
最終的な金額は、来年三月の地方議会で決まります。現時点の市町村の全国集計がそのまま実施されると、六十五歳以上全体で約九百二十億円の負担増となります。
六十五歳以上の場合、所得に応じて五段階の保険料が設定されています(表参照)。住民税を払っている人は合計所得二百万円未満でも基準額(三千二百四十一円)の25%増、月四千五十一円の負担になります。夫婦二人の場合、年間の保険料は九万七千二百二十円と、十万円近い負担です。
こうした重い負担増に、自治体は独自に保険料の減額・免除制度にとりくんでいますが、厚労省は「保険料の全額免除」「収入のみに着目した一律の減免」などは「適当ではない」として、これまでどおり圧力をかけています。
一方、「保険料の引き上げを緩和できる有力な選択肢だ」として同省が推奨しているのが、保険料を六段階にする方法。「『高所得』の高齢者からより多くの保険料を徴収することで、低所得者の保険料を下げるメリットがある」というのが言い分です。
政府は「介護を利用する人が増えれば保険料が上がるのは仕方ない」といいつつ、国の負担で低所得者向けの減免制度をつくることは、あくまで拒む姿勢です。
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※金額は全国平均 |