日本共産党

2002年9月11日(水)「しんぶん赤旗」

原発の内部告発保護法制って?


 〈問い〉 原子力分野には内部告発者を保護する国内唯一の法律があるそうですが、どういうものですか。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 東京電力の原発事故隠しや、日本ハム、雪印食品の牛肉偽装事件など、内部告発がきっかけで企業犯罪や不正が明るみに出ています。監督省庁が責任を果たせなかったことも特徴的です。欧米では不正行為の告発者保護制度が発達していますが、日本では労働法分野を別にすれば、原子炉等規制法の規定が、不正告発保護の唯一の規定といわれています。内閣府がこの秋から内部告発者の保護法制を検討すると伝えられていますが、政界・財界などの抵抗も予想されます。

 原子炉等規制法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)六六条の二は、原子力関連施設の事業者・使用者の法令違反を、従業員が担当大臣に申告できるとしています。事業者・使用者による申告従業員の解雇その他不利益な取り扱いは禁止され、七八条の四で不利益取り扱いをした事業者らは六月以下の懲役または五十万円以下の罰金となります。

 この規定は一九九九年の法改正でもりこまれました。同年九月の茨城県東海村の核燃料施設臨界事故で、原子力行政の欠陥が浮き彫りになったためです。

 しかし、アメリカなどの告発者保護法制は、内部告発は言論の自由につらなる憲法的な権利=「笛を吹く権利」と考え、告発者への制裁はこの権利を侵す犯罪としています。そして権利保障のため、▽暴露を容易にし奨励する手続き・機関▽暴露事実の適正な捜査・処理▽企業や直属の上司の報復から告発者を保護する諸規定▽報復を受けた者への補償―などを定めています。これに比べ規制法の保護規定は不十分なものです。

 また、原子炉等規制法の規定は民間従業員に限っています。米国では告発が公務員の義務となる場合もあります。監督・指導を通じ不正を察知できる公務員を除外しては不正告発の重要な一環を欠きます。

 (

 〔2002・9・11(水)〕

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp