2002年9月20日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十九日、遊説のため訪れた奈良市で記者会見し、日本銀行政策委員会が大手銀行の保有株を数兆円規模で直接買い取る方針を決めたことについて次のように述べました。
一、これは、大銀行を救済し、国民に負担をおしつける、“禁じ手”にふみだそうというものであり、絶対に許しがたい。
第一に、この措置は、株価対策に日銀を利用し、大銀行が株をもつことのリスク(危険)を、日銀にうつしかえようというものである。日銀政策委員会の方針で、「金融機関保有株式の価格変動リスクが、金融機関経営の大きな不安定要因となっている」としているが、この危険を日銀がひきうけてやることになる。
日銀が買い取った株が下落すれば、その損失は日銀から国庫への納付金の減少と言う形で、国民負担となっておしつけられる。さらに、日銀が株を保有することは、日銀自体の体質を不安定なものとし、中央銀行としてのまともな役割をはたせなくする。速水総裁自身が、「世界の中央銀行で、民間の株を保有しているところはない」とのべているように、世界でも類のない異常な危険に、中央銀行をさらすことになる。
一、第二に、この方針が、日米首脳会談で、首相がブッシュ大統領に公約した、「不良債権の処理の加速」を具体化したものだということである。そのことは、日銀政策委員会の方針にも「金融機関が不良債権問題の克服に着実に取り組める環境を整備する」としていることからも、明りょうである。
事実上の公的資金の注入で、不良債権処理の名での中小企業つぶしをすすめることも、許しがたいことである。
一、この方針の撤回をもとめる。もともと、日銀自身が否定していたこの方針の採用に踏みきったのは、日米首脳会談でのアメリカの要求にこたえた結果だった。これまでも日本経済には、アメリカ追随によって、大きなゆがみがもちこまれてきたが、今回の方針をすすめるなら、とり返しのつかない誤りを重ねることになることを、強く警告する。
小泉内閣が、この大不況の中でやろうとしている経済政策は、国民には巨額の負担増をおしつけながら、大企業と大銀行にはバラマキをやろうというものであり、経済危機をいっそう深刻にするこの基本方針こそ、根本から転換すべきである。