2002年9月25日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 最近、自民党の懇談会が、企業献金も「社会的役割」との提言を出したそうですが、どうなっているのですか。(東京・一読者)
〈答え〉 小泉首相の指示で自民党内に設置されていた「政治資金等に関する有識者懇談会」は、七月十七日に「政治資金等に関する提言」をまとめました。あいつぐ金権腐敗事件への国民の批判を前に、「企業献金を必ずしも悪と思っていない」という小泉首相も放置できず、三月に、公共工事受注企業などの献金規制検討を同党執行部に指示していたものです。
この提言は総論で、「企業が政治献金を行うことには社会的意義があり、政治献金が企業の社会的役割を果たすことに通じる」と述べています。自民党内には今までも“企業も社会的存在だから献金できる”などの弁護論はありましたが、“献金するのが企業の役割だ”との推進論は初めてです。
当面の対策では、公共工事受注が一定割合を超えた企業は、献金限度額を制限するとしています。しかし「企業寄附の意義」を強調し、受注企業の献金を「全面的に禁止する条件は設定しない」というものです。
制限の例として、公共工事が売り上げの50%を超える企業は政治資金規正法の献金限度額を50%減らすなどとしています。
しかし自民党への献金上位ゼネコンで、公共工事が売り上げの50%以上という企業はほとんどありません。また規正法が定める政党への献金限度額は、もともとが高すぎ、半分にしてもほとんど影響がありません。
そのほか「政治資金の浄化が充分に進まない主因」を「現状の選挙システム」に求めるなど金権批判を定数削減などにすりかえる意図も見せています。
鈴木宗男衆院議員や加藤紘一・元自民党幹事長らの事件は、企業献金の見返りに公共工事などを口利きする自民党の金権体質をさらけ出しました。“献金は企業の社会的役割”と開き直る提言は、「自民党を変える」どころか政党の自浄能力喪失を示すものです。
(水)
〔2002・9・25(水)〕