日本共産党

2002年9月26日(木)「しんぶん赤旗」

50兆円の公共事業が対米公約とは?


 〈問い〉 毎年五十兆円もの公共事業は対米公約が背景といいますが、どんなことがあったのですか。(富山・一読者)

 〈答え〉 日本の公共事業費は、毎年発表される総務省(旧自治省)の「行政投資実績」や内閣府(旧経済企画庁)の「公的固定資本形成」などで二年ほど前の総額がわかります。行政投資実績では土地購入費や補償費を含み、公的固定資本形成では含まないなど違いがありますが、行政投資実績でみると一九九〇年代なかば以降、年五十兆円前後で推移しています。財源を補うため、国が建設国債を発行し、自治体が地方債を発行するなど、借金が膨らむ大きな要因となっています。

 財政危機でも年五十兆円もの公共事業が続いたのは、政府が一九九五年度から二〇〇七年度までの十三年間に六百三十兆円を投入する、「公共投資基本計画」を決めていたからです。この計画は九〇年代から始まったもので、アメリカへの約束を実行するのが目的です。

 最初の計画は、九一年度から二〇〇〇年度までの十年間に、四百三十兆円を投入するものでした。九〇年に海部内閣とブッシュ(現ブッシュ米大統領の父親)政権とのあいだで妥結した日米構造協議によるものです。この結果、八〇年代に三十兆円前後で推移していた公共事業が九三年には五十兆円に急増しました。

 その後九四年に村山内閣は計画を見直し、九五年度から二〇〇四年度までに六百三十兆円を消化するよう拡大しました。アメリカの圧力を受け、七月の日米首脳会談でクリントン米大統領に規模拡大を約束したためです。しかし年六十兆円もの消化は無理だったので、九七年の橋本内閣のとき、アメリカの了解を得て三年間延長しました。

 小泉内閣は一月、批判が強かった公共投資基本計画の廃止を打ち出しましたが、進行中の大型事業の削減案はありません。一方で都市部のビル乱立などをすすめる「都市再生」計画を推進しています。

 (清)

 〔2002・9・26(木)〕

 


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