2002年9月29日(日)「しんぶん赤旗」
お年寄りの医療費患者負担が、十月一日から値上げされます。七月に自民、公明、保守の与党三党が強行成立させた医療改悪によるものです。
七十歳以上の人が病院にかかったときの窓口負担は、一割負担が徹底されます。一定以上の所得がある人(夫婦二人世帯で年収約六百三十万円程度以上)は、二割負担にはね上がります。
現在、各市町村が新しい受給者証を発行しています。窓口負担が一割と二割のどちらになるかは、この受給者証に記載されます。
多くの診療所で実施されている一回八百五十円(月四回まで負担、五回目からは無料)の定額負担は、十月から廃止されてしまいます。
定額負担の場合、窓口での支払いは、これまで薬剤費も含めて一回八百五十円でした。しかしこれが廃止されると、診察や検査などにかかった医療費の一割負担に加え、薬局で受け取る薬代も一割負担が必要となり、大変な負担増となります。
一カ月ごとの自己負担限度額も、表のように引き上げられます。さらに外来では、新たに償還払いのしくみを導入します。これが実施されると、いったんは一割負担(一定以上の所得者は二割)分を全額支払ったうえ、払い戻しを受けるための手続きも必要となります。限度額を超えた分の窓口払いの免除を求める運動などが大切になっています。
厚生労働省は、こうした改悪によってお年寄りの患者負担が全体で年間二千億円増えると推計しています。さらに、患者負担引き上げによる受診抑制で、年二千四百億円の医療費を削減できると見込んでいます。
七十歳未満についても、十月から自己負担限度額が引き上げられます。(表参照)
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中央社会保障推進協議会・相野谷安孝事務局次長の話 いま、救急車で搬送されてくるお年寄りがすでに手遅れで、入院する前に亡くなるという悲痛な事例が増えています。負担増が実施されれば、こうした事態がさらに悪化することは間違いありません。深刻な不況のもとでの患者負担増が経済を悪化させることも避けられないでしょう。各地の医師会などからも大きな反発が起こってきています。たとえ十月から実施されても、こういうひどいやり方は元に戻せという運動をはば広く展開していきたい。また、お年寄りの負担増を極力抑えられるよう、自己負担限度額を超える分の窓口負担の免除など、自治体への交渉も重要になっていると思います。