2002年10月2日(水)「しんぶん赤旗」
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医療改悪法にもとづきお年寄りの自己負担分医療費の大幅値上げが実施された一日、国会で同法実施に抗議する緊急集会が開かれ、全国各地でデモや宣伝、署名行動がありました。
国会では、「医療改悪法実施・雇用保険の保険料引き上げ実施に抗議する緊急集会」が全労連、中央社保協、国民大運動実行委員会の主催でおこなわれ、約百十人が参加しました。
全労連の西川征矢副議長が主催者あいさつ。医療団体連絡会議から全国保険医団体連合会の中重治事務局次長が訴え、今回の医療改悪の実施は、社会的弱者ほど負担が大きいとその矛盾を指摘し、医師会などでも大きな変化がおきているとのべました。
「医療改悪反対で三千万の署名を集めたことを確信にし、医療制度を守るため、各界と懇談を重ねていく」(医労連)、「雇用保険制度の改悪を許さないため、全国キャラバンなどで訴えていく」(全労連)、「お金がなく治療を中断した患者を看護師が訪ねると“孤独死”していた。地域にでて地域とともに医療を守り、医療改悪を実施させない」(民医連)などの決意が語られました。
実行委員会は、行動提起で、医療改悪実施の中止、年金給付額を引き下げない、介護保険料を引き上げない、国民健康保険料・税を引き下げることを求める新署名を「もっともっと集めていこう」と訴えました。
日本共産党から衆参両院議員がかけつけ、筆坂秀世書記局長代行が情勢報告。日本共産党が発表した国民の暮らしをまもるための「四つの緊急要求」の内容を紹介し、社会保障での三兆円負担増の中止などの四要求は「保守や革新、将来の社会保障をどうするかの違いを超えて幅広い共闘ができるもの」とのべ、広範な共同を呼びかけました。
老人医療費の負担増が開始された一日、東京都内の診療所と薬局窓口で高齢者に聞くと、深刻な不安の声が次々と口をついて出てきました。
高血圧で四週間ごとに通院し、薬をもらっている書上コマさん(72)。窓口負担は二割。この日の負担は診察料が四百五十円、薬剤費四百九十円で計九百四十円でした。「検査をしたらどれくらいになるのかしら。だんだんに年をとってきて、やっぱり将来は不安ね」と話します。
「払いすぎた分は戻されるというけど、お年寄りはややこしい手続きができないですよ」と、償還払い制度にとまどいをみせる水野直子さん(73)。「好きで病気になるわけじゃないのに。私は二十三歳から働きつづけて健康保険料を払いつづけてきました。それなのに、政治家が赤字とか老人に金がかかりすぎるとか言ってるのを聞くと憎たらしくなる」
澁谷精一さん(69)は、高脂血症と糖尿病のためマル福(都の老人医療費助成制度)で受診していました。今回、国の老人医療制度が一割になり、都がその基準に合わせたため、八百五十円だったのが一割負担に。診察料千三百四十円と薬剤費六百円で計千九百四十円がかかりました。「今までの倍以上。とても生活していけないよ。老人は年金収入が固定されている。『働け』っていっても若い人もリストラされる時でしょう。厳しいよ。銀行を助けるためには税金を使うけど、命を守る方を削っている政治に腹が立つ」と怒りをあらわにしました。