日本共産党

2002年10月9日(水)「しんぶん赤旗」

北京の五日間(23)

中央委員会議長 不破哲三

28日 江沢民総書記との首脳会談(三)


この国際行動では「アメリカ帝国主義反対」といった旗はいらない

 私はさらに発言を続けた。イラク攻撃に反対する国際行動の性格の問題である。

 この国際行動では、以前のように、「アメリカ帝国主義反対」という旗を高くかかげる必要はない。私は、この行動の性格について、問題は、国連憲章にもとづく平和の国際ルールを守ることであり、そのルールを破ろうとする者があれば、誰であってもそれを許さない、という取り組みであって、この国際行動には、世界の世論の大きな支持を獲得する展望がいよいよ大きくなっていることを、力説した。

 論点が自分たちの問題意識とかみあった時には、中国側の出席者が大きくうなずく。この提起も、そういう表情の見えた場面の一つだった。

核兵器廃絶のイニシアチブをとる国が核保有国のなかから出ることが切望されている

 さらに、私は、核兵器廃絶の課題について、一方では、核兵器使用の可能性がかつてない形で現実の危険となっており、この課題がいよいよ重大で切実なものとなっていること、他方では、国際政治の上で核兵器廃絶を求める声がかつてなく大きくなり、時にはアメリカをふくむ核兵器保有国に「核兵器の完全廃絶」を約束させる力を発揮するまでになっていることを、指摘した。これまでは各国の平和運動団体だけが参加していた日本での原水爆禁止世界大会に、各国の政府代表が参加し、各国の元首や首相のメッセージが多く寄せられるようになったことは、そのことを、具体的事実で示すものである。

 私は、「参加した政府代表は、エジプトの外務次官、マレーシアの軍縮大使とバングラデシュ、南アフリカの政府代表、メッセージを寄せた元首・首相は、マレーシア、ベトナム、ラオス、バングラデシュ、南アフリカ、ニュージーランド、スウェーデン、タイ」と国名を具体的にあげて紹介し、その上で、次の点を強調した。

 「世界はいま、核保有国のなかから、核兵器廃絶へのイニシアチブをとる国が現れることを痛切に望んでいるし、そのことがいまこそ必要になっている」。これが、核保有国である中国への期待の表明であることは、誰にも分かることだった。

視点や角度のちがう認識や見方のつきあわせが、お互いに有意義

 唐家セン(とうかせん)外相との会談でも分かったように、私のこの問題提起は、アメリカの戦略を分析する視点の点でも、国際ルールを破るその単独行動主義、覇権主義を批判する角度の点でも、中国側のそれとはかなり違っていたように思う。

 こういう視点や角度の違う認識と見方、あるいは政策論をつきあわせるところで、それぞれが問題の新たな整理もできるし、お互いにより充実した認識をもつこともできるようになる。対話を積み重ねることの意味は、なによりもその点にある。

 それだけに、私の発言を受けての江沢民(こうたくみん)総書記の発言に、私は非常な重みを感じた。

 江総書記は、「私は真剣に不破議長のお話をお聞きしました」と述べて、まず朝鮮問題を取り上げたあと、「不破議長は、国連の尊重と核兵器禁止について提起されました」と問題を整理したうえで、提起された問題についての中国の態度の説明にすすんだ。(つづく)

 


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