日本共産党

2002年10月13日(日)「しんぶん赤旗」

道路運送法改定でタクシー労働者は?


 〈問い〉 タクシー労働者が二月に施行された法改定で暮らせないといっていますが、どういうことですか。 (神奈川・一読者)

 〈答え〉 タクシー労働者の賃金は歩合給(売り上げに応じて、一定の割合を労働者に配分する給与)が一般的で、売り上げ減がすぐに賃金に響きます。二〇〇〇年に「改正」され今年二月に施行された道路運送法改定で、地区ごとの台数規制を撤廃し、新規参入は免許制から、一定要件を満たせば参入できる許可制に移行しました。政府の規制緩和策の一環です。運賃は一九九七年以降、上限から10%以内の範囲で自由に設定できるようになっていましたが、二月の改定で、この枠を超える値下げや遠距離割引も認可することになりました。改定を受けて、各社は増車、新規参入、運賃変更などを申請しました。

 タクシー台数がふえて一台あたりの売り上げが減りました。不況で客が減るなか、運賃値下げ競争が客の奪い合いと賃金低下に拍車をかけています。労働者は売り上げを確保しようと、公休の返上や残業を重ね、休憩時間も削っています。健康悪化が心配されます。労働条件の悪化は事故の原因にもなります。

 東京二十三区と武蔵野・三鷹両市の場合、法人タクシーの台数は九一年の二万六千台から、二〇〇〇年には二万八千台にふえました。一方、実車率(全走行距離のうち客が乗っている距離の割合)は九一年の55・2%から、二〇〇〇年には44・7%に落ちています。

 タクシー労働者の全国の平均年収は九九年で三百七万円でした。ピークだった九一年の三百八十二万円と比べると七十五万円の減です。二月の法改定はこうした事態をより深刻にするものです。タクシー労働者からは「休憩時間を削って働かないと生活できない。体がもつかどうか」との声が上がっています。

 日本共産党は、供給過剰が労働条件悪化や安全低下を招くとして改定案に反対しました。

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 (2002・10・13(日)〕

 


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