2002年10月23日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 プレジャーボートが急増しているようですが、どんな対策が必要になっていますか。(岡山・一読者)
〈答え〉 プレジャーボートとは、モーターボート、ヨット、水上オートバイなど、漁船を除く小型船舶(総トン数二十トン未満)の総称です。一九九八年には保有数が四十五万隻、操縦に必要な免許取得者も二百七十九万人にのぼるなど、利用者が広がっています。
経験が浅く、海でのマナーに習熟していない利用者の増加を背景に、海難事故なども増加傾向にあります。海上保安庁のまとめでも、二〇〇一年の海難船舶二千五百五十八隻のうち四割強の千百五十七隻がプレジャーボートで占められ、機関整備不良や見張り体制不備など人為的要因が指摘されています。マリーナなど係留保管施設の収容能力が七万隻程度しかないこともあいまって大量の放置艇が生まれ、安全上の問題や沈廃船の処分問題なども起きています。
海のマナーの習熟をはかる問題では、今年六月改正され、来年施行される「船舶職員及び小型船舶操縦者法」(現・船舶職員法)に一定の対策が盛り込まれました。小型船舶操縦者(船長)の責任を「遵守事項」として明確化し、講習などで指導します。同時に利用者も広範であることから、行政の幅広い広報・啓蒙活動や、年一万件もの売買にかかわるメーカー・販売会社による啓発なども必要です。
放置艇は利用者のマナーの問題でもありますが、係留施設が圧倒的に不足している現状は、従来の延長線上でない増設対策などが必要です。会員募集企業が施設を閉鎖・売却するなど利用者に困難をもたらす例もあり、メーカー・販売会社などの企業責任も問われています。
処分の難しいグラスファイバー船などの増加も、沈廃船問題の解決を困難にしています。メーカーに再利用を促すことや、自動車でもやっているように、業界も一定の負担をして処理にあたるなどの対応も必要になっています。
(清)
〔2002・10・23(水)〕