2002年10月25日(金)「しんぶん赤旗」
「不良債権処理を加速すれば、技術をもっている中小企業もつぶされる」「安心して生活できる状態にするのが国の役割だ」。二十四日の衆院予算委員会で日本共産党の佐々木憲昭議員は、小泉「構造改革」路線の根本的転換を求めました。
佐々木議員 (首相は)不良債権の本格的な加速ということを宣言している。この不良債権の処理というのが、「デフレ」を加速させるという性格をもっていることは認識しているのか。
小泉首相 企業にも倒産が起きてくる場合も出てくる。勤めた方々が失業される。この悪循環に陥ることがないよう対応策を進めていく必要がある。しかし、不良債権処理を先送りするわけにはいかない。
小泉首相は、昨年四月就任以来、「不良債権早期処理」を進めてきました。一年間で処理した不良債権額は、政府が不良債権早期処理の対象にしてきた大手行(十三行ベース)だけでも六・二兆円に達しています。しかし、小泉首相が「予定通り処理しても、また予測以上の新規が出ている」と認めたように、不良債権が新規に九・九兆円発生し、残高は、二〇〇一年三月の十一・七兆円から〇二年三月の十五・四兆円へと三・七兆円増えました。
首相は、不良債権処理が倒産・失業を招くことを認めました。ところが、首相は不良債権処理の加速策をつきすすむというのです。
佐々木 こういうときに政府がなにをやるのかが重要だ。来年度だけでも社会保障の負担増で三兆円。国民の負担は増える。不良債権を大量に処理すればますます失業、倒産が出る悪循環になってしまう。
佐々木氏は、倒産・失業の悪循環に陥ることがないようにするという首相にたいし、政府がやろうとしていることは、「デフレ加速策」ばかりだと批判。首相が所信表明であげた東京・大田区の町工場では年一割の中小企業がつぶれている実情を示し、日本経済・地域経済にとってなくてはならない中小企業が「赤字だから」ということで、つぶされている現状の転換を求めました。
佐々木 今後いったいどれだけの離職者(失業者)が生まれるのか、数字を出してください。
竹中経財金融相 正確に議論するのは大変難しい。
佐々木 まったく無責任だ。計算さえしていない。大規模に失業、倒産を生み出す政策は明確だけども結果はやってみないと分からないと。国民は大変な苦しみにあう。
「不良債権処理の加速」がもたらす結果についてまともな認識も展望も持たない小泉内閣の姿が浮かびあがりました。
佐々木氏の質問に金融庁は、大手行だけで現在十四・五兆円にのぼる不良債権のうち今年度中に十兆円を処理する計画だと答えました。昨年度の処理が六・二兆円ですから大変な規模です。
佐々木氏は「大変な失業と倒産を生み出すことになる」と批判し、「不良債権処理の加速化」の転換を要求しました。
佐々木 失業者の子どもが学校に行けなくなって大変な状況にある。これを救済するのも政治の責任だ。
小泉 本人の意欲があれば必ず教育が受けられる制度なり体制はきちんととっていきたい。
学費・授業料、住宅ローンへの緊急援助など、失業者とその家族をまもるための緊急要求について、小泉首相も真剣な対策をとると答えざるをえませんでした。
雇用保険が切れた失業者の生活保障制度をつくることや、「離職者支援資金」の無利子や返済期間延長を求めたのにたいし、小泉首相は「どのような具体策がいいか厚労大臣を中心に検討していただいています」と答えました。