2002年10月27日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 小泉内閣が廃止などをねらっている所得控除はどんなものですか。(大阪・一読者)
〈答え〉 所得税や住民税は、税をかける前に所得金額から一定額の控除を差し引きます。生活に必要な経費には税をかけない「生計費非課税」の原則によるものです。
首相の諮問機関である政府税制調査会は、六月十四日に「あるべき税制の構築に向けた基本方針」という答申を提出し、税収の「空洞化」などへの対応として「基本的には家族に関する控除を基礎控除、配偶者控除、扶養控除に簡素化・集約化すべき」だとの方向を打ち出しています。この方針のもと、塩川正十郎財務大臣は十月十一日に、来年度「税制改革」で「配偶者特別控除、特定扶養控除の廃止・縮減を図る」ことを示しました。所得税・住民税の課税強化をねらいとしたものです。
サラリーマンなどの配偶者の年収が七十万円未満の場合、三十八万円の配偶者控除に加え、三十八万円の配偶者特別控除が上乗せされます(控除額は所得税の場合)。配偶者の年収が七十万円以上になると控除が段階的に減らされていき、年収百四十一万円でゼロになる仕組みです。
特定扶養控除は、学費などの出費が増える、十六歳以上二十三歳未満の扶養親族を対象にしたものです。所得税でみた場合は、一般の扶養控除は扶養親族一人につき三十八万円ですが、特定扶養控除が適用される年齢の親族の場合には、六十三万円が控除されます。
この二つの控除が廃止された場合、たとえば年収五百万円のサラリーマン四人家族の標準世帯では、年間七万円もの増税になります。国民全体でも、所得税で約七千億円、住民税で約三千三百億円、総額一兆円を超える国民負担増となると政府も試算しています。雇用者所得が一年間で九兆円も減っているときに、耐え難い激痛の追い打ちをかけるものです。
(清)
〔2002・10・27(日)〕