2002年10月30日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 いま論議されている法人事業税への外形標準課税で、どんな影響がでますか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 法人事業税は都道府県の収入となる税金で、企業などの法人所得が大きくなるにしたがい、5%〜9・6%の税率が課されています。赤字となっている企業は所得もゼロであるため課税されません。
政府が来年度からの導入をねらっている外形標準課税は、所得ではなく、従業員の給与総額や資本金など、事業活動の規模をあらわすもの(外形)を基準に課税する税金で、赤字企業も税負担を強いられます。
いま検討されているのは、法人事業税の半分を外形標準課税にしようとする、昨年十一月の総務省案です。法人事業税の六分の三を所得課税、六分の二を付加価値(給与や利子などと損益の合計)への課税、六分の一を資本(資本金などと資本積立金額の合計)への課税でまかなうもので、数年の経過措置を経て完全実施をめざします。所得への税率を現行の半分にする一方、付加価値に0・66%、資本に0・48%の税率をかけるとしています。
日本商工会議所など四団体は八月二十八日、一万三千九十六社が回答したデータをもとに、総務省案の外形標準課税が導入された場合の試算を発表しました。増税となるのは赤字法人五七五九社すべてと黒字法人の五六一七社で、全体の86・9%に達しています。年四万八千円の簡易外形税額が選択できる、資本金一千万円未満の小規模法人でも、黒字企業の六割が増税です。
国内法人約二百五十万社にあてはめると、赤字法人だけでも七割を占めているので、九割を超える企業で増税となる計算です。その半面、ひとにぎりの企業が巨額減税の恩恵を受けることになります。直近の企業会計年度の資料をもとに、日本共産党の吉井英勝衆院議員が七月に国会で示した試算では、減税額の上位十社だけで八百四十億円の減税となっています。
(博)
〔2002・10・30(水)〕