2002年10月31日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 ラムサール条約の登録湿地に、国はどんな責任をおうのですか。(三重・一読者)
〈答え〉 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)は、一九七一年にイランのラムサールで開かれた国際会議で採択されました。国境を越えて移動する水鳥の生息地を中心に、湿地の生態系を保全する国内政策と国際的行動を結合した条約です。締約国は、一つ以上の湿地を「国際的に重要な湿地」として登録するよう義務づけられ、一九八〇年に批准した日本は、現在十一カ所の湿地を登録しています。
登録湿地は、生態学や動・植物学上の重要性などから選定されますが、とくに水鳥にとって国際的に重要な湿地は、登録するよう求められています。
政府は、登録湿地の保全と適正利用のため、計画の作成・実施が義務付けられます。また登録湿地の生態系が、人間の干渉などで変化にさらされるときは関係機関に通報する義務があります。
登録湿地の廃止・縮小は「緊急な国家的利益のために」するほかは認めていません。その場合も関係機関に通報し、できるかぎり喪失を補い、従前の生息地に相当する新たな自然保護区を創設する義務があります。
なお条約は、登録されていない湿地でも、自然保護区を設け十分な監視を行うことや、水鳥を増加させるなどの努力をうながしています。
一九九九年にコスタリカのサンホセで開かれた第七回締約国会議は、約九百八十カ所の登録湿地を二〇〇五年までに二千カ所に増やす決議をしました。登録は今月までに千二百カ所に達しましたが、日本は九九年五月の沖縄県・漫湖の登録以後はありません。十一月にスペインのバレンシアで開かれる第八回締約国会議で、日本が二カ所を登録する予定と伝えられていますが、渡り鳥の重要な中継地である日本列島の政府は、より積極的な行動が求められます。
(水)
〔2002・10・31(木)〕