日本共産党

2002年11月2日(土)「しんぶん赤旗」

「憲法調査会中間報告書(案)」に対する

春名議員の意見表明要旨


 一日の衆院憲法調査会で日本共産党の春名直章議員がおこなった「憲法調査会中間報告書(案)」に対する意見表明(要旨)は次の通りです。

 日本共産党は、「中間報告書(案)」に反対です。

 第一に、何のために「中間報告書」をまとめるのか、その趣旨が明らかではありません。憲法調査会は「日本国憲法の広範かつ総合的な調査」を行うことを目的にしたものであり、改憲のための調査会ではありません。

 この目的に照らして調査会がやるべき調査活動は、憲法の理念と原則が、立法、行政、司法の現場で実現されているかどうか、されていないとすればどこに問題があるのかなどを深く調査すること、憲法を現実の政治と社会に生かす方法を調査することです。

 しかし、これまでこうした調査はほとんどなされていません。むしろ改憲を志向する委員からは、安保条約や自衛隊など、憲法違反の現実にいかに憲法を合わせるかとの主張が繰り返しなされてきました。

 調査の進め方も、参考人等から意見を聴取し、質疑を行うことが中心で、それを調査会としてどう扱うのか、何を生かすのかという角度の議論・調査は行われていません。大切なのは期間ではなく調査の内実です。

 今日までの調査実態は、何か報告書を出せるような段階ではないと考えます。国民に調査の内容を知らせる必要があるというなら、会議録などで十分です。あえて「中間報告書」をまとめるのは、調査会の目的を離れた政治的意図があるのではないか、と思わざるをえません。

 第二に、「中間報告書(案)」は、内容の点でも看過できない問題があり承服できません。とりわけ、本報告書のかなりの部分を占める第三篇第三章の「論点整理」は問題です。

 本調査会は、日本国憲法の各条章に沿った論点ごとの調査などはおこなっていません。にもかかわらず、「二十一世紀のあるべき姿」など漠然としたテーマのもとでの参考人や委員の発言を、調査テーマとしていない「憲法は改正すべき」「自衛隊の憲法への明文化」などの「論点」にそって「整理」することが、どうして「調査の経過を記載した報告書」といえるでしょうか。

 その整理の手法は、単に発言回数の多いキーワードに着目して項目を立て、その項目にそって参考人や委員の意見を並べるというものです。調査の流れ、参考人と委員との質疑のやりとりなど、発言の背景がいっさい捨象されているから真意が伝わらず、発言の主眼からズレているものも少なくありません。「論点整理」は、調査会の実際の調査内容を公正に反映したものとなっていません。結局、改憲を志向した編集意図で論点が整理されているといわれても仕方がないものです。

 「広範かつ総合的な調査」という調査会の目的にいまこそ立ち返り、憲法政治の実態、憲法の運用実態を深く調査すべきです。

 


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