2002年11月2日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉就学援助制度で自治体の持ち出しが増えているそうですが、国の補助はどうなっているのですか。(東京・一読者)
〈答え〉 就学援助制度とは、経済的理由で小・中学校への就学が困難な児童・生徒の家庭に、学用品や入学準備金、給食費、医療費などを支給する制度です。学校などが申請の窓口となり市区町村が対象者を認定しています。市区町村は実情に即して主体的に判断し、生活保護の資格要件が適用される人のほか、経済的困難などで就学援助が必要な人を認定します。
一九五六年の就学援助法などにより、「予算の範囲内で」国が単価の二分の一を補助することになっています。不況・リストラによる生活悪化を反映して認定が増えていますが、国の予算枠が抑えられているため、自治体の負担増となっています。
七月の国会でこの問題を質問した日本共産党の西山とき子参院議員に、文部科学省が示した資料によれば、就学援助の受給児童生徒数は一九九七年には七十八万五千人でしたが、二〇〇一年には34%増の百五万人となっています。市区町村の就学援助額も二百二十三億円から二百九十二億円に増えましたが、国の補助は八十一億円から七十五億円へと減少し、国庫補助率も25・7%まで低下しました。
これは、国が補助の予算枠を全児童・生徒数の3・8%相当分と決めてしまったためです。3・8%を超えた児童・生徒の分は、自治体の持ち出しになります。政府は自治体間の認定率のばらつきなどを理由にしていますが、認定率の高いところも政府が目安に示している認定基準をふまえており、実際に認定が必要な人の増加を反映したものです。
この制度は、児童・生徒の教育権を保障する一環ですが、政府の「予算先にありき」で、あとは地方任せの姿勢のために、はじめから認定数を制限する自治体も出ています。国は実態とかけ離れた予算枠でよしとせず、積極的な措置を講ずる責任があります。
(清)
〔2002・11・2(土)〕