2002年11月6日(水)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は五日、雇用保険失業手当の保険料率を現在より0・2ポイント引き上げ、1・6%とする見直し案をまとめ、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に提示しました。
十月十日に同省が示した失業手当の給付削減案と合わせ、同審議会は十一月中に雇用保険制度見直しの最終案をまとめ、これを受けた同省は来年一月の通常国会に関連法改悪案を提出する予定です。
給付と負担の両面から労働者は犠牲を負うことになり、小泉内閣がいう「セーフティーネット強化」は絵に描いたモチであることがはっきりしました。
同保険料は、昨年四月に月額賃金の0・8%から1・2%に、ことし十月からは1・4%になったばかりです。同改悪案が成立すれば三年連続の改定で二年あまりで二倍にはね上がることになります。
同保険料は労使折半で負担するため、0・2ポイント上がると個人負担は0・1ポイント増え、月収三十万円の場合は三百円増の二千四百円となります。また、企業負担ではとくに中小企業への影響は大きく、同保険への未加入労働者の増加や雇用圧縮が心配されます。同保険料率の引き上げで年間約三千億円の国民負担増となります。
雇用保険制度は、労使折半負担の失業給付部分と、事業主負担のいわゆる三事業(雇用安定事業など)部分からなっています。今回の保険料率引き上げは失業給付部分の引き上げです。労働者の負担強化と同時に、長期不況の中でギリギリの経営をよぎなくされている中小企業への影響は深刻です。
厚生労働省は、失業者の増大による給付増加↓雇用保険財政危機を料率引き上げの口実にしています。しかし、失業者増加の原因は政府の経済失政にあります。しかも小泉内閣は、不良債権処理加速を掲げ、倒産・失業を激増させる政策さえとっています。そのツケを、悪政の犠牲者である労働者・中小企業に負わせるのは二重に不当です。
失業に対する政府責任は現行雇用保険法も認めているところです。それだからこそ、給付総額の四分の一から三分の一の国庫負担を国に義務付けています。いま必要なことは、ムダな公共事業や軍事費にメスをいれ、同国庫負担など国民向け財政支出を拡大することです。しかし、厚労省案にはその視点はありません。(篠田隆記者)