2002年11月7日(木)「しんぶん赤旗」
南アフリカの人権問題をめぐる国連決議(一九七四年など)で資源の持ち出しが禁止されていたアフリカ・ナミビア産のウラン鉱石を日本の電力業界が第三国を「迂回(うかい)」させ核燃料として輸入していた疑惑が、六日の衆院内閣委員会でとりあげられました。日本共産党の吉井英勝衆院議員が追及したもの。経済産業省は、日本の電力会社が海外のペーパーカンパニーをトンネル会社にした国際契約の流れを認めました。
吉井議員は、ウラン鉱石の産地を隠ぺいするこうした手口を「密貿易ともいうべき国際的無法」とただしました。
吉井議員は十月三十日の同委員会で、東京電力、関西電力など九電力がアフリカのナミビア産ウランを輸入した内部資料をもとに「国際的な取り決め違反」だと究明を求めて、「疑惑を持たれることがあってはならない」(福田官房長官)などと調査を約束させていました。
吉井議員は、通産省告示一七〇号(一九六六年)が、原発の燃料に加工するウラン鉱石、天然ウラン、ウラン化合物の輸入承認にあたって産地の公表が義務付けられていると指摘。電力会社が産地を隠ぺいするため、七〇年代から鉱石で購入契約し、トンネル会社経由で化合物(六フッ化ウラン)に衣替えして引き取るという巧妙な手口を使っていたことを明らかにしました。
経済産業省の迎陽一電力・ガス事業部長は、吉井議員が示したスイス・チューリッヒ郊外にある人口約二百人の町に登記されたペーパーカンパニー(RTZミネラルサービス)などや、引き取り契約を結んだ合弁会社(当時、ウラン鉱山を所有していないERA、日豪ウランなど)を経由して、電力会社とウラン輸入(役務)契約が結ばれていた事実を「ご指摘のとおり」と認めました。
吉井議員は「国の認可がおりた時に本契約は発効する」と書かれた電力会社と海外の業者との「ウラン精鉱転換契約書」(七八年)の存在を紹介。南アフリカ制裁の国連決議に反するナミビア産ウラン購入や原産国隠しを、国が知っていたはずだと追及しました。