2002年11月8日(金)「しんぶん赤旗」
「母子家庭をどこまで苦しめたら気がすむのですか」――母子寡婦福祉法等改悪法案を審議している衆院厚生労働委員会で七日におこなわれた参考人質疑。五人の参考人のうち賛成を明言したのは一人で、反対や慎重審議を求める意見が相次ぎ、まともな審議もせず八日に強行採決をねらう与党の冷たい姿勢が改めて浮き彫りになりました。
「石巻市の母親は、不況で給料も少なく、かぜをひいた子どもを病院にも連れていってやれないと訴えています。手当は母子家庭の命綱です」
こう訴えたのは、全国生活と健康を守る会連合会の前田美津恵事務局次長。母子家庭の窮状を切々と訴えながら時折涙ぐむ参考人も。
改悪案は、十八歳の年度末まで支給している児童扶養手当を、支給五年後に半分にまで削減できるというもの。
法案を評価するとのべた明治学院大学の山崎美貴子教授も「手当は母子家庭に大切なお金で何としても存続してほしい。現状を無視した形にならないよう慎重に議論してほしい」とのべました。
政府が手当削減の代わりに打ち出している就労支援や、別れた配偶者からの養育費の確保についても、効果を疑問視する意見が相次ぎました。
就労支援策についてNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事は「今の職を維持するためのスキルアップ(能力向上)に役立つかもしれないが、給料アップまではいかない。母子家庭の生活の苦しさは解消されない」と指摘。
離婚問題に詳しい榊原富士子弁護士は「配偶者と養育費の取り決めがあっても自分でとりたてるのは難しい。サポート体制をつくらないといけない」とのべました。
与党議員は「男女差別はなくなった」(自民・後藤田正純氏)と発言、参考人に誤りを指摘されるありさまでした。
日本共産党の山口富男議員は、扶養手当は必要であり拡充すべきこと、就労支援や養育費の確保も効果あるものにしてほしいという意見が出されたことを受けとめたいとのべました。