2002年11月13日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 自動車NOx・PM法の車種規制などがはじまりましたが、深刻な現状にてらして十分な対策といえますか。(大阪・一読者)
〈答え〉 昨年制定された自動車NOx(窒素酸化物)・PM(粒子状物質)法とは、窒素酸化物の削減を目指した自動車NOx法に、粒子状物質も規制対象とするなどの法改正をおこなった法律です。事業者への規制は今年五月にはじまり、新基準に適合しない車は対策地域内で登録できなくなる(車検に通らなくなる)車種規制も、新車については今年十月から開始され、既存の車両も来年十月以降、順次適用されます。
一九九二年に制定された自動車NOx法は、政府が七八年に大幅に緩和した環境基準さえも達成できないことを背景に、特定地域を指定し、自動車から排出される窒素酸化物の削減をめざす法律でした。けれども目標の二〇〇〇年度までに環境基準を達成した地域は三割にとどまり、政府が放置してきたディーゼル車などによる粒子状物質の健康被害でも、国の責任を問う判決があいつぎました。
自動車NOx・PM法は、▽粒子状物質にも車種規制を導入▽対策を実施する特定地域を拡大▽三十台以上の車両を使用する事業者に排出ガス削減の「自動車使用管理計画」を提出させる―などが新しい点で、現状の一定の改善が期待できるものといえます。
しかし、自動車一台あたりの汚染物質の排出を減らす単体規制や、車種規制は、従来からあるものです。都市部に流入する車両の増大が、一台あたりの削減を帳消しにしてきました。根本的には流入車両を減らす措置が必要で、昨年否決された日本共産党の修正案でも提起している、メーカーや事業者の総量規制にふみだすべきです。
また来年度以降買い替えを迫られる中小運送業者や個人事業者の中で廃業の急増が危ぐされます。販売した車に装着できる低減装置の開発などメーカーの責任を果たさせることや、国の支援策が重要です。
(清)
〔2002・11・13(水)〕