2002年11月16日(土)「しんぶん赤旗」
マンション建て替えのための客観的要件を撤廃し、建て替えを「円滑化」する区分所有法(マンション法)「改正」案が十五日、衆院国土交通委員会で採決され、自民、民主、公明、自由、保守各党の賛成多数で可決されました。日本共産党と社民党は反対しました。
マンションの建て替えは現在、建物の老朽化や、維持・修繕にかかる費用が建て替え費用よりも高くなるという客観的要件を満たす場合にかぎって、全体の五分の四以上の賛成で認められます。法案はこの要件を撤廃し、すべての建て替えを五分の四の賛成だけで認めようというものです。
法案に対する反対討論で日本共産党の大幡基夫議員は、「個人の財産を、客観的な要件のないまま五分の四の多数議決のみで事実上奪ってしまうことは、現在の財産権としての区分所有権を変質させるものだ」と批判。団地型マンションの一括建て替えの場合、各棟ごとの決議は三分の二以上の賛成でよいとすることについても「少数者の財産権を侵すものだ」と指摘しました。法案の採決に先立ち、日本共産党は修正案を提出し、瀬古由起子議員が趣旨を説明しました。修正案は、政府案で削除された建て替えの客観的要件を削除しないようにすることと、団地の一括建て替えの場合の各棟ごとの決議要件を五分の四以上にするという内容です。
修正案には日本共産党と社民党が賛成しましたが、反対多数で否決されました。