2002年11月17日(日)「しんぶん赤旗」
国民健康保険料(税)を納められない滞納世帯が全世帯の18%にのぼる四百十二万、国保証を取り上げられ被保険者資格証明書を交付された世帯が昨年の二倍の二十二万五千、有効期限つきの短期被保険者証交付世帯七十七万八千――厚生労働省が十六日までにまとめた全国調査(今年六月一日時点)で、こんな結果がでました。日本最大の医療保険制度が危機的な状況にあり、国民の医療が脅かされている実態の一端を示しています。
国保証をとりあげられ、被保険者資格証明書を交付されると、病院などの窓口で医療費を全額支払わなければならず、あとで、市町村から七割が償還払いされることになっています。しかも、保険料(税)滞納が一年半以上になると、償還分が未納の保険料(税)に充てられることになります。
短期証は六カ月、三カ月、一カ月などと有効期間を限定。保険料(税)を納付しないと国保証を発行しないと脅して、収納率アップを狙ったものです。
国保証取り上げと被保険者資格証明書発行は、一九八六年の法改悪で制度化され、小泉首相が厚生相時代の九七年の改悪で、それまで市町村の裁量とされていたものを「返還させるものとする」という義務規定にし、昨年度からこの保険料(税)未納者への制裁を強化しています。
日本共産党・井上美代参院議員の話 国保をめぐる深刻な実態は、この間の医療、年金、介護などの連続的な国民負担増とともに「小泉不況」によるものです。保険者である自治体とともに、とりわけ国の責任は重大です。国庫負担引き上げによって加入者の国保料(税)負担の軽減をはかるとともに、社会保障での三兆円負担増をやめさせるため、各界の人々と力を合わせいっそう世論を広げ、運動を大きくしていきたい。