2002年11月17日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 中学校の男子生徒丸刈りの校則についてどう考えますか。(熊本・一読者)
〈答え〉 校則は、ほんらい、その学校で児童・生徒が生き生きとすごすための学校内のルールです。ところが、中学や高校などの校則には、頭髪や服装などをこと細かく制限するなど不合理なものが少なくなく、青少年の人権のうえからも問題があります。
私たちは、こうした現実をふまえ、不合理な校則を見直し、教育の場にふさわしいルールとしての校則につくりかえることが求められている、と考えています。
頭髪の問題は、市民的自由に属するものです。学校が教育の名で丸刈りにせよ何にせよ特定の髪型を指定することは、誰にでも認められるべき市民的自由を不当に制限するものであり、正しくありません。子どもの権利条約では「いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない」(第一六条)とされ、頭髪はそのなかの「私生活」に含まれています。とくに社会全体として丸刈りの風潮もなくなった今、中学校のなかだけで丸刈りというのはあまりにも不自然なことです。
さらに、校則をたてにして、丸刈りに従わない生徒をおさえつけたり、学校行事等に参加させないなどの「懲罰」を科すことは、二重三重に許されない、人権侵害です。学校は、人間的な成長をたすけ、民主主義の担い手である主権者を育てるための場所です。その学校で、人権にかんする侵害や不合理な状態があることは、子どもの人間形成の観点からも放置できないことです。
個々の校則の見直しは、教育の場にふさわしい形で、学校自治によってすすめられることが期待されます。その際、事柄に応じて、児童・生徒、保護者、教職員らの意見が尊重されることが大切です。(森)
〔2002・11・17(日)〕