日本共産党

2002年11月21日(木)「しんぶん赤旗」

民事法律扶助の財政が危機的とは?


 〈問い〉 民事裁判の法律扶助法が二年前にできたばかりなのに、扶助事業が財政危機に直面しているそうです。どうなっているのですか。 (京都・一読者)

 〈答え〉 法律扶助とは自分では弁護士や裁判所の費用を支払うことが困難な人に、資金援助などを行う制度です。憲法三二条が定めている「裁判を受ける権利」の実質的保障にとって重要です。

 日本では国の制度がなかったため、弁護士会拠出の基金と国庫補助をもとに、法律扶助協会が、無料法律相談や選任弁護士費用・裁判所費用の立て替えなどを行ってきました。日本弁護士連合会や国民の運動により、ようやく民事法律扶助法が成立し、二〇〇〇年十月から施行されました。しかし国庫補助が利用件数の急増に追いつかず、昨年度末には各地で窓口の閉鎖や利用制限、扶助決定の延期などを余儀なくされ、今年度も同様の事態が予測されています。

 不況による自己破産の急増が大きな要因です。自己破産申請の扶助件数は、法施行前の一九九九年度で七千件でしたが、昨年度は二万件を超え、二年間で三倍となりました。昨年度の自己破産申請数は十六万件でしたが、今年度は二十数万件にのぼるといわれ、扶助が必要な人も急増するのは確実です。ところが昨年度は補正予算で二十八億六千万円としても追いつかなかったのに、今年度の当初予算は三十億円にとどまりました。

 もともと法律扶助への日本の国庫補助は、イギリス千百四十六億円(九四年度)、ドイツ三百六十三億円(九〇年度)と比べはるかに少なく、人口九百万人のスウェーデン四十五億円(九三年度)にも及びません。法律扶助協会は来年度予算として七十五億円を要求しましたが、政府の概算要求額は三十五億円にすぎません。リストラと「不良債権」処理加速の自民党政治のもと、予算の都合で法律扶助がうけられず、自己破産申請もできないといった事態は許されないことです。政府は国庫補助を抜本的に増額する責任があります。

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 〔2002・11・21(木)〕

 


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