日本共産党

2002年11月23日(土)「しんぶん赤旗」

茨城県立 唯一の児童養護施設

自民、公明、民主が廃止決める

残された子ども どこに行けば…

冷たい政治に県議選で審判を

来月8日投票


 県議選(二十九日告示、十二月八日投票)に向けて激しいたたかいが繰り広げられている茨城県。十四日に閉会した定例県議会で、自民、公明、民主の各党は、県内に一つしかない県立児童養護施設(友部みどり学園)を廃止する条例案を可決しました。弱者に冷たい政治の象徴として批判の声があがっています。日本共産党の大内くみ子、つかごし恵子、立谷みや子の三議員は、これに強く反対し、「虐待の犠牲となった子どもたちのよりどころをなくし、子どもたちを追い出すなど、到底認めることはできません」と、施策の充実を求めました。


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児童養護施設・県立友部みどり学園を視察する日本共産党の3人の県議。左から、つかごし恵子、立谷みや子、大内くみ子の各氏=13日、茨城県友部町

表

 児童養護施設は両親が亡くなったり、離婚したり、親から虐待を受けるなど、家族による養育が困難な子どもたちが生活する家です。

 茨城県立友部みどり学園(友部町)は、百年近い歴史をもち、戦災孤児をはじめ、各時代の恵まれない子どもたちを守り育ててきました。定員は八十人ですが、二〇〇〇年度から新規受け入れを停止。昨年末、県児童福祉課から来年三月末をもって廃止する方針であることが通告されました。

 当時いた四十三人の子どもたちは、県内に十一ある民間の養護施設へ移されたり、里親や家庭に引き取られていきましたが、廃止条例可決時でも九人の子どもが残っています。

 黒澤弘忠学園長の説明によると、この九人を、「来年三月末までには、施設から他へ移し、再来年の三月までには、建物を取り壊してさら地にする予定」とのことです。

 日本共産党の大内くみ子県議団長(水戸市選挙区)はいいます。「友部みどり学園の前身は個人の篤志家が設立した孤児院を、地方自治がなかった戦前の一九三四年に県議会の議決により、県立にしたものです。それを廃止して子どもたちを追い出すところに、茨城県政の冷たさが表れています。日本共産党の躍進で子どもにあたたかい県政をつくりましょう」

養育困難の子どものよりどころ

民間施設はほぼ満員状態

 茨城県内に一つしかない県立児童養護施設・友部みどり学園を廃止することについて、県当局は「民間施設が増えて、民間で十分対応できる」「財政難」などを理由にしています。しかし、県内にある十一の民間児童養護施設の定員が六百三十一人であるのにたいし、入所している子どもは六百四人。定員の空きは二十七しかなく、一施設あたり二・二人分の余裕しかありません(表)。県児童福祉課の施設福祉グループの担当者も、「民間施設は、毎月ほぼ満員状態」と認めています。

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友部みどり学園で職員とゲームをして遊ぶ入園児

 「財政難」といっても友部みどり学園の運営費は、年間約二億五千万円(二〇〇二年度当初予算額)。総額千四百億円を注ぎ込んだ豪華県庁舎や、五万トン級の船に対応するふ頭を造ったものの、五万トン級の船は年に三隻しか来ない常陸那珂港建設に、総額六千八百億円も注ぎ込んでいることを見れば、ムダの削減で十分生み出せるものです。

 全国五百五十の児童養護施設が参加する全国児童養護施設協議会によると、児童虐待に関する児童相談所への相談件数は、一九九〇年度から二〇〇一年度までの十一年間で二十倍に増加。「児童相談所の懸命な努力にもかかわらずその数は児童相談所の処理能力をはるかに超え、虐待の程度が重篤になったものから順に対応せざるを得ない状況にある」(同協議会『児童養護施設近未来像2』)と指摘しており、行政の真剣な対応が求められています。県内唯一の児童養護施設を廃止する自民、公明、民主などの態度は、時代逆行の子どもいじめそのものです。

 


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