2002年11月23日(土)「しんぶん赤旗」
母子家庭の生活を支える児童扶養手当の大幅な削減を柱とする母子寡婦福祉法等改悪案が二十二日の参院本会議で採決され、自民、民主、公明、保守各党の賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、自由党、社民党などは反対しました。
現在、児童扶養手当は十八歳になる年の年度末まで支給されますが、改悪後は支給開始から五年(三歳未満の場合は三歳になった翌月から五年)を超えると、最大で半分に減額されます。具体的なことは今後、政令で定められます。
父親からの養育費も新たに母親の所得として計算し、受給金額を削減します。さらに、母親に「自立」を求め、求職活動に熱心でないとみなせば手当の支給が停止・削減できるとしています。
また、母子家庭の「自立」を支援するとして「就業支援事業」や「常用雇用転換への支援事業」の創設が盛り込まれました。しかし審議のなかで坂口力厚生労働相が「やってみないとわからない」と答弁するなど、実効性に疑問があります。母子家庭の母親から削減反対の切実な声が上がっているにもかかわらず、衆参合わせても委員会審議はわずか五日間。参院厚生労働委員会では、参考人質疑を行ったその日のうちに採決するなど、まともに審議もしないままの成立となりました。