2002年11月23日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 自己破産する人が増えていますが、自己破産でどんな影響がありますか。(岩手・一読者)
〈答え〉 自己破産とは破産法一三二条にもとづき、債務が返済できなくなった本人がみずから破産を申し立て、裁判所から破産宣告を受けることです。破産が確定すると一定期間内に裁判所に免責を申し立てることができ、免責が認められると残った債務の返済が免除されます。裁判所が慎重な審理判断をしますが、浪費などの不許可事由がないかぎり免責は認められます。不許可事由がある場合も、一部の返済を条件に免責を認めるのが普通です。これらはやむを得ない理由で債務超過となった人の生活を立て直し、社会復帰を図る制度といえます。
破産宣告を受けると、弁護士や公認会計士、取締役・監査役などの資格が制限されるなど法律上の不利益を受けますが、免責決定で支払いの責任がなくなれば、資格制限も解除され、法的不利益はほぼ解消されます。
また破産が戸籍・住民票に記載されることはなく、破産によって選挙権も制限されず、破産を理由とした解雇もできないことになっています。債権者が差し押さえをする場合がありますが、法令は給与などの差し押さえ禁止額を定めており、生活に必要な家財道具なども差し押さえられません。免責後は返済すべき債務がなくなるため、差し押さえそのものができません。
なお、免責後も数年間、金融機関がクレジットやローンの利用を断るなど、事実としての不利益は一定残ります。
最高裁が集計している自己破産申請数は、一九九〇年には一万一千件でしたが、九六年に五万件を超え、九八年には十万件に達しました。昨年は十六万件にのぼりましたが、今年は九月までに十五万二千件を超えています。自民党政治による長期不況が、小泉内閣のリストラ支援・「不良債権」処理加速の政策で深刻になり、債務超過におちいる人が急増していることの現れです。
(博)
〔2002・11・23(土)〕