2002年11月27日(水)「しんぶん赤旗」
厚生労働省が製薬業界に、いち早く法案情報を流していた――日本共産党の小池晃議員は二十六日の参院厚生労働委員会で、医薬品の被害救済や研究開発、安全審査などを独立行政法人に統廃合する法案について質問。事前説明の内部文書を示して、「法案の最大の目的は、製薬業界の要請にこたえて、医薬品の審査のスピードを上げること。安全対策が後退する」と追及しました。
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問題の「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」法案で、小池氏が示したのは、「医薬関係新独立行政法人の設置について」という厚労省の内部文書(八ページ)。法案の骨子も決まっていない八月上旬の段階で、職員数など体制、業務内容を詳しく説明したもので、「必要な人員・組織・業務の充実化を行うことを通じ、『より優れた』製品を、…『より早く』国民に提供できる体制を構築できる」などと書いています。すべてのページに「取扱厳重注意」とあります。
一方で、薬害の被害者団体への法案説明は九月中旬以降になりました。
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小池氏は「被害者団体への説明はきわめて不十分だったのに対し、製薬企業にはていねいに説明していたという経過こそが法案のねらいをはっきりと物語っている」と指摘。日本製薬団体連合会が坂口力厚生労働相に対し、薬剤の承認審査の迅速化のために「審査体制の見直しも必要」と要望書を提出していたことをあげ、「法案は、製薬業界の要求にこたえて新組織をつくるものだ」と批判しました。坂口厚労相は「早くから(メーカー側に)情報を流すことはもってのほか」などと答えました。
小池氏は、同機構が医薬品の研究振興と審査、副作用被害救済という業務をひとつの法人にまとめることを取り上げ、薬害エイズ事件の教訓をふまえ、厚生省(当時)が省内で医薬品の研究開発と審査・監視部門を分離させたことに逆行すると指摘。「副作用の情報の収集や分析など肝心な部分は独法(独立行政法人)が担当することになるが、国の業務として残すべきだ」と求めました。