2002年11月27日(水)「しんぶん赤旗」
四十九の特殊法人を独立行政法人化する法案のうち参院の三つの委員会で審議していた九法案の採決が二十六日おこなわれ、与党三党などの賛成で可決されました。日本共産党は「看板の付け替えにすぎず改革の名に値しない」として反対しました。
農水委員会では、採決に先立つ質疑で紙智子議員が、緑資源開発機構がすすめる大規模林道事業は、環境を破壊し自治体にも負担を強いる浪費計画であり、きっぱり見直すべきだと主張。特殊法人や公益法人を渡り歩いた元農産園芸局長の事例をあげて官僚の「天下り」を禁止すべきだと求めました。
大規模林道について加藤鐵夫林野庁長官は、見直し中だが残事業完成まで十七年、四千九百億円を要すると答弁。天下りについて大島理森農水相は「就職する自由も登用する自由もある」などと弁明。紙氏は多少の手直しであくまで推進するなど許されないと強調し、国産材活用などに予算を回すべきだとのべました。
反対討論で紙氏は、農畜産振興機構法案は価格安定や生産者補給金交付など本来国が直接実施すべき業務を独立行政法人化するものであり、農業技術研究機構や水産総合研究センターも非国家公務員化することは認められないとのべました。
内閣委員会で岩佐恵美議員は、国民生活センターの独立行政法人化について、食品のにせ表示が次つぎと発覚するなど消費者不信が高まるなか「情報の収集や的確な情報の提供がますます重要になっている」と指摘しました。
ところが、事業者名を伏せずに結果を公表してきた国民生活センターの商品比較テストの廃止や直接相談業務の段階的縮小・廃止が打ち出されたことにふれ、「消費者の願いに逆行している。効率性という行政の都合で切り捨てるのはとんでもない」と批判しました。
竹中平蔵金融・経済財政担当相は、行政の役割の重要性は認めながらも「財政赤字のなかで効率化に知恵を出さざるをえない」とのべました。
反対討論で岩佐氏は、消費者行政は損得や効率性でははかれないものであり、消費者と企業の持つ情報の不平等をなくすうえで公的機関の取り組みが重要で、業務の効率化を口実に消費者行政を後退させることは許されないと強調しました。
財政金融委員会で池田幹幸議員は、万博跡地や施設などを活用するために設立された日本万国博覧会記念協会を独立行政法人化する法案について質問しました。
跡地の切り売りでなく幅広い国民が利用できるようにすべきだと主張してきたことにふれ、すでに実施された入園料の有料化やスポーツ施設の一部廃止に続いて、利用者負担増やサービス切り捨てに拍車がかかるのではないかと指摘。地元自治体や市民の声が機構の運営に反映されるしくみが必要だと主張しました。
法案の反対討論で大門実紀史議員は、電子情報処理組織による税関手続きの特例法改正案について、国際貨物業務のような国固有で国民生活に直結した事業は国が責任をもって実施すべきだと強調。万博機構法案とともに「採算性を重視するあまり施設利用料の値上げやサービス後退など公共性を損なう懸念がある」とのべました。