日本共産党

2002年11月27日(水)「しんぶん赤旗」

学校の耐震化がおくれているって?


 〈問い〉 半分以上の学校で耐震性に問題があると聞きましたが、なぜこんなことになっているのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 六千人以上の死者を出した一九九五年の阪神・淡路大震災では、現行の建築基準が実施される八一年六月より前の建物に、被害が顕著に現れました。そこで九五年十月に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を制定し、基準をみたさない建物の耐震改修促進を決めました。中でも一定規模以上の学校や体育館は、多数の人が利用する「特定建築物」に指定されており、耐震診断・耐震改修に努めることや、行政の指導や助言などが定められています。

 しかし、政府は法制定後もしばらくの間、耐震化を自治体まかせにし、整備が必要な学校数などの把握もおこたってきました。一件あたり数百万円かかる耐震診断や一校に数億円かかる耐震改修などへの国庫補助も十分ではなく、負担増が自治体や私学の足かせとなって、診断や改修の遅れが各地から指摘されていました。

 内閣府は昨年ようやく調査にのりだし、今年七月一日に「地震防災施設の整備状況に関する調査」の中間報告を発表しました。報告によると、全国の国公私立の幼稚園・小中高校・大学などで耐震化されている校舎の割合は、回答のあった約十五万棟の45・7%にとどまっています。同様に学校体育館の耐震化施設の割合も、48・4%となっています。日常、多数が利用する教育施設であり、避難場所に指定されるなど重要防災拠点でもある学校で、法制定から七年たっても耐震化が進まない現状は問題です。

 日本共産党や父母、教職員の運動を受け、文部科学省は来年度予算の概算要求で、耐震化費用を中心に、公立小中学校の施設整備費の三百億円増額をもりこみました。しかし同省の試算でも、この額では耐震化完了まで二十五年以上かかり、抜本的な増額が必要です。

 (

 〔2002・11・27(水)〕

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp