2002年11月28日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 政府のマンション法改定案に日本共産党は反対しているそうですが、何が問題になっているのですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 建物の区分所有等に関する法律(マンション法)は、分譲マンションなどの居住者(区分所有者)の権利・義務や、共同管理のルールなどを定めています。居住者が知恵と力を合わせて建て替えを進めるための条件整備が課題でしたが、政府はこの秋提出した改定案に、建て替えに踏み切れない居住者を多数決だけで切り捨てる改悪をもりこみました。
いまの建て替えのほとんどは全員一致で進んでいますが、現行マンション法は、建物の維持・復旧費用が建て替えより過分のときに限り、全体の五分の四以上の賛成で建て替え決議を認めています。しかし政府案は、こうした客観的要件を撤廃し、理由・目的を問わず、すべての建て替えを五分の四以上の賛成だけで認めます。団地型マンションの「一括建て替え」では、全体の五分の四の賛成があれば各棟ごとの三分の二以上の賛成でよいとの規定も加えました。
建て替えの必要性などの客観的要件を撤廃することは、居住者の財産権侵害となりかねず、政府審議会の論議でも撤廃意見はほとんど出ませんでした。政府が意見照会した百七十団体でも、撤廃意見は不動産や建設業界の三団体だけです。のべ数十兆円の建て替え事業参入を狙うゼネコンらの要求の結果、要件撤廃したと指摘されています。
建て替えが検討されているマンション居住者の多くは高齢者で、建て替えの費用負担も容易ではありません。資金などの支援制度の不十分さや、公正な調査・情報提供の不足など、障害となる問題の解決こそ必要であり、日本共産党は十一月十一日、これらの問題への「見解と提案」を発表しました。
政府案は十九日、日本共産党と社民党の反対を押し切って、衆院でわずか三日の審議で可決され、参院に送付されました。多くの居住者も知らないままの強行は、不当です。
(博)
〔2002・11・28(木)〕