2002年11月28日(木)「しんぶん赤旗」
森山真弓法相は二十七日の衆院法務委員会で、名古屋刑務所の刑務官による暴行事件について報告、逮捕された副看守長らが「被害者が既に制圧され、暴行を振るうおそれもないのに、懲らしめのために革手錠を使用」したことを初めて明らかにしました。
日本共産党の木島日出夫議員は、法務省がこれまで受刑者を保護房に収容した上に革手錠をかけた理由を「暴行等の恐れがある」としていたことを指摘。中井憲治矯正局長は「事実に反した報告がされた」と答弁し、名古屋刑務所長がウソの報告をしていたことを認めました。このため同事件の革手錠使用が「逃走、暴行、自殺」を抑止できない場合に限って認められる戒具使用の要件に該当せず、違法行為だったことが浮き彫りになりました。
また報告と法務省の答弁から、受刑者が「自己の非を認めようとせず反抗的態度を取った」ことに副看守長が立腹し、受刑者の座っていたいすの足をけるなどして保護房に収容し、革手錠をかけた経過も分かりました。
木島氏は、受刑者が「怠業」を理由に今年四月に懲罰を受けたことを不当だとして名古屋弁護士会に人権救済の申し立てをしていたため、副看守長らが申し立てを取り下げさせようと九月になって五回も保護房に入れるなどの行動に及んだと指摘。「密室で行われたことでウソの報告が上がっていた重大な問題だ。矯正行政のあり方について本格的な調査が必要だ」と追及しました。
森山法相は「事態の徹底解明が大事で、さらに調査を徹底したい」と答弁しました。