2002年11月30日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 警察がネットオークションの法規制に乗り出すそうですが、何をしようというのですか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 ネットオークションとは、インターネットの業者が設置したホームページなどに出品し、競売する商取引です。ほぼ100%がネット業者大手三社のネット上の“市場”で行われています。利用が増えトラブルも多発しています。
十一月二十日、盗品売買防止を理由に、ネットオークション業者も警察や公安委員会の規制対象とする、古物営業法「一部改正」案が与党らの賛成で成立しました。日本共産党は民主党・社民党らとともに反対しましたが、以下の問題があります。
この法律は、ネットオークションを開設している業者が(1)取引記録の作成・保存の努力(2)出品者の本人確認の努力(3)盗品が疑われる出品の申告―などの義務を負い、(4)国家公安委員会は優良業者の認定制度を創設する―などの内容となっています。
しかし、(1)取引記録を無限定に行政に提供すれば個人情報を侵しかねない(2)本人確認も業者が自主的にすすめており、「努力」義務を課す意味が不明(3)数百万件もの商品情報から、業者が疑わしい商品を発見することは困難(4)三社がほぼすべてを占めているもとで優良業者の認定は無意味―などが指摘されています。悪質業者は海外からもネット取引できるなど、実効性は乏しいのに、営業の自由などをむやみに規制するものです。
もともと昨年八月に警察庁の諮問機関が出した報告書でも、盗品対策の結論は▽業界の自主規制を広め▽法的措置は自主規制の効果も踏まえて必要性を見極める―というものでした。ネットオークションへの法規制は唐突で、国際的にも例がありません。いま最も苦情が多いのは、代金を支払ったのに品物が届かない、品質が悪い、代金を二重に払わされたなどの契約トラブルです。これらを消費者保護の立場に立って解決する、総合的な政策づくりこそが求められています。
(水)
〔2002・11・30(土)〕