2002年12月1日(日)「しんぶん赤旗」
小泉医療改悪で十月から、お年寄りの医療費窓口負担が一割(一定所得以上は二割)になり、「重症患者ほど負担が重く、受診を控えたり中断したりして命を脅かされる」深刻な実態が、全国保険医団体連合会(保団連)の調査で明らかになりました。
調査は十一月五日から十五日まで千二百五十医療機関にアンケートをおこないました。
十月の外来患者数が前年同月に比べ「減った」という医療機関は、医科で64・1%、歯科で61・4%でした。減少の割合は「一〜二割」が医科で43・4%、歯科で40・4%、「三割以上」も医科で2・3%、歯科で7・3%ありました。
受診回数が「減った」は、医科で64・3%、歯科で45・8%。患者負担増が原因と思われる中断が「あった」という回答は医科で29・4%、歯科で18・3%。
治療への深刻な影響が意見としてアンケートに寄せられています。「二週間分の薬を四週間にのばして服用する症例が多くなり、高血圧のコントロールがしにくい」「定期観察が必要な患者さんから、何回もこれない、と薬の長期投与をたのまれる」「自覚症状のともなわない病気の薬を拒否される」など「このままでは日本の医療が荒廃する」事態が具体的に報告されています。
受けた影響の内容(医科) | 件数 |
---|---|
投薬の日数や薬の種類の変更 | 119 |
検査の減少や変更 | 127 |
往診や受診日数の減少 | 66 |
在宅酸素の中止 | 6 |
室生昇・保団連会長の話 度重なる医療費負担増が、高齢の患者さんを経済的にも精神的にも追いつめ、受診の手控えを強いていることが浮き彫りになった。早期受診の抑制や慢性疾患の人の治療中断は、重い合併症を引き起こしたり生命を脅かすケースもある。働き盛り世代の労働強化やストレスもあり国民規模での健康悪化が心配される。経済と社会に深刻な影響を及ぼす問題だ。