日本共産党

2002年12月1日(日)「しんぶん赤旗」

金型図面の流出問題とは?


 〈問い〉 日本の中小企業がつくった金型図面の海外流出が問題になっているようですか、どういうことですか。 (東京・一読者)

 〈答え〉 金型とは、金属やプラスチック、ゴム、ガラスといった材料を、設計どおりの形状に成型加工するために使われる、型枠です。おもに金属からつくられています。自動車や電気製品などを組み立てる無数の部品は、金型でプレスしたり、金型に流し込むなどの工法で大量生産されています。

 ひとつひとつの金型の設計や製造には、材料の特性や工法を熟知したメーカー独特の技術やノウハウが必要です。設計図面や加工データには、それぞれの金型メーカーの固有のノウハウが集積しています。しかしメーカーの大部分は中小零細企業であるため、元請け大企業に「金型のメンテナンス用に」などと提出を求められると、断りにくい立場にあります。

 ところが多くの大企業が、入手した図面やデータを、設計などのノウハウで日本にまだ及ばない東アジアの現地金型メーカーに流し、生産させています。日本金型工業会東部支部の緊急アンケートでは、40%の金型メーカーが、発注企業に提出させられた図面やデータが海外生産に使われたと回答しています。

 蓄積した産業技術の対価もない流出は、製造業の基盤を掘り崩します。この問題はマスコミなどでも取り上げられ、日本共産党も、図面やデータの流出は中小企業の知的所有権の侵害であり、大企業の無責任な利益追求を是正させるよう政府に要求してきました。日本金型工業会は今年五月、政府に要望書を提出し、図面などの流出問題の総合的な指導を求めています。

 こうした声に押され、経済産業省は七月、「金型図面や金型加工データの意図せざる流出の防止に関する指針」を発表し、営業秘密や知的財産権の保護を金型製造の委託契約に定めるよう指導しました。十一月十四日には、来年一月に実態調査する方針を示しています。

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 〔2002・12・1(日)〕


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