2002年12月2日(月)「しんぶん赤旗」
北海道社会保障推進協議会(黒川一郎会長)が実施した「十月からの高齢者医療改悪の通院患者影響調査」(千人聞き取り調査)を分析したところ、医療費の負担「月二千五百円未満」の人が激減する一方、「五千円以上」が三倍に達していることが一日までにわかりました。国民に襲いかかる社会保障三兆円の負担増には、野党四党が一致して反対していますが、その一部、高齢者医療改悪だけで深刻な事態になっています。
調査は、十月末に道内十市四町の十病院十三診療所六薬局で、七十歳以上の高齢患者千三十二人に聞いたものです。
その結果、「高くなった」と答えた人で金額がわかる百七十七人の内訳を分析したところ、負担の大きな変化がわかりました(グラフ参照)。六割いた「月二千五百円未満」の人が三割を切り、逆に一割程度だった「五千円以上」の人が三倍に膨れ上がりました。なかでも「一万円以上」と答えた人は2・3%から11・3%へ五倍に達しています。
札幌市白石区の後藤恵美子さん(71)は、九年前に胃を全摘しました。二年前には盲腸で二カ月間入院しましたが、いまは北海道勤医協札幌友の会が開いている「高齢者のお食事会」で食事づくりのボランティアを買って出るほどです。
二週に一度だった通院がいまは四週に一度。十月は医療費が上がってビックリしました。診察と薬代で一回二千四百円程度だったのが三千八百円にもなりました。しかも検査がある月などはもっと大変。「なるだけ安い方がね」といいます。
前田慶一さん(76)は年金者組合道本部の副委員長。「高齢者は戦中、戦後と苦しいなかがんばってきた人。だから七三年まで高齢者医療は無料だった。それをどんどん切り捨てるやり方は許せない。無料に戻すべきだ」。そして「三兆円負担増は、年金から九千二百億円をもぎ取る。これじゃくらしも命もだいなしだよ」と憤慨します。
その実態の深刻さは、道社保協に積まれた千枚を超える調査用紙にもあふれています。
リウマチで一つの病院に通う札幌市の高齢者 薬代込みで九月の千六百九十円が十月は八千七百円に。「支払いが大変」といい、「夫も入院している。薬を減らしたらリウマチの発作が起きる。薬は減らせないので困っている」。
釧路市で病院三カ所に通っている高齢者 以前の月三千円から十月は一万円に跳ね上がり、「支払いが大変」と回答。「病院にいく回数を減らす」「検査・薬を減らす」「食費や生活費を削る」の三つに○印を付けました。