2002年12月5日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 住基ネットの利用拡大をはかる法案が審議されているそうですが、どういうものですか。(大阪・一読者)
〈答え〉 国民一人ひとりに十一けたの番号を付け、番号・氏名・住所・性別・生年月日・それらの変更情報を一括して行政が管理する、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が、今年八月に多くの反対を押し切り導入されました。ところが政府・与党は十一月二十一日、住基ネットの利用を拡大する「行政手続きオンライン化」三法案を、日本共産党などの反対を押し切って二回の審議で参院を通過させ、衆院に送付しました。
これは官庁や地方自治体などの行政手続き(申請、処分通知、縦覧、書面の作成・保存など)を電子情報で行えるようにするという内容です(裁判手続きなどは例外)。そしてオンラインによる行政手続きでの本人確認手段として自治体に電子証明書発行などの個人認証業務を行わせ、住基ネットの情報が「本人確認情報」に利用されます。
住基ネットの利用事務は、現行の住民票発行など九十三事務に不動産登記なども加わり、二百六十四事務に拡大します。
住基ネットは、▽統一コードによる集中管理で漏えい・不正利用の危険が高い▽住民基本台帳のデータが市町村の関与もなく国に渡ってしまう▽個人情報保護が未整備―など、多くの問題を抱えます。このオンライン申請などの基盤となるのが国のネットワーク「霞が関WAN」と自治体などを結ぶ、「総合行政ネットワーク」(LGWAN)です。住基ネットの運営が前提の「オンライン化」は、これらの問題を深刻にします。政府は、LGWANは自治体間を結ぶシステムで国の法律で縛るべきでないとして、民間委託も自治体の判断に委ねたため、個人情報などが民間機関に管理されることにもなりかねません。個人情報漏えいの危険をさらに拡大する、こうした法案は白紙にもどすべきです。
(水)
〔2002・12・5(木)〕