日本共産党

2002年12月6日(金)「しんぶん赤旗」

保険料率20%固定 給付は12%減

2032年度

厚労省が年金改革のたたき台


新方式の導入提示

 厚生労働省は五日、二〇〇四年の公的年金改革の「方向性と論点」をまとめました。厚生年金の保険料率の上限を法律で固定する一方、年金給付額は現役世代の総賃金伸び率などに応じて「自動調整」する新方式を有力案として提示しました。「方向性と論点」で厚労省は、テーマごとに選択肢を示し、国民に議論を呼びかけていますが、どれも負担増・給付減を求める内容となっています。

 保険料固定方式の試算では、最終的な保険料率を年収の20%(労使折半、現行13・58%)に固定した場合、現役世代の平均手取り年収に対する給付額水準は現行推計の59%から二〇三二年度には52%に下がり、実質12%減となります。

 保険料は固定するまで毎年値上げ。固定した保険料内で年金を賄うため、一人当たりの賃金伸び率と総賃金伸び率の差などをもとにして毎年、年金額を調整する仕組みを具体例として盛り込んでいます。

 年金の支え手である労働力人口が減れば、自動的に年金額も減ることになります。

 少子化が現行水準で推移する中位推計(合計特殊出生率一・三九)の給付水準として年収の52%になりますが、少子化がさらに進む低位推計(同一・一〇)では45%まで落ち込みます。

 「方向性と論点」ではこのほか、年金改革の課題として、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることが「不可欠」としたほか、(1)年金資金を活用した少子化対策(2)パートなど短時間労働者に対する厚生年金の適用促進―などを掲げています。

 同省は今後、各界の意見を参考にしながら〇三年秋に最終案をまとめ、〇四年の通常国会に年金改革関連法案を提出する予定です。


年金改革たたき台のポイント

一、五年ごとに給付・保険料を見直す現行方式に加え、最終的な保険料を固定し、給付水準を自動調整する新方式を検討。

一、保険料引き上げ凍結の解除が必要。基礎年金国庫負担割合の二分の一への引き上げは財源化確保と一体。

一、社会保険方式を基本に、国民年金保険料の多段階免除導入の検討と保険料収納対策の徹底。

一、現在受給している年金(既裁定年金)は、公的年金等控除の見直しを検討。

一、年金財源による次世代支援策や短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大策などを推進。


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