日本共産党

2002年12月7日(土)「しんぶん赤旗」

知的財産基本法のねらいは?


 〈問い〉 知的財産基本法が成立したようですが、何をねらっているのですか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 十一月二十七日成立した知的財産基本法がめざすのは、知的財産の創造・活用を「基軸」とする経済社会です。無責任な海外進出で国内の物づくりを空洞化させたまま、知的財産の活用によって競争力強化をはかろうとする、身勝手な財界戦略にそったものです。日本共産党は反対しました。

 首相を本部長とする「知的財産戦略本部」が「推進計画」を策定し、国・自治体・大学・企業の連携で知的財産の創造・保護・活用を進めます。「基本法」といいながら文化や芸術、学問など広範な知的財産の発展を促す施策はなく、大学などの研究開発成果の「円滑な企業化」など、大企業の競争力強化に直結する領域に特化しています。

 大学が国の政策に協力させられ、大学の自治や学問の自由が脅かされます。目先の市場化、実用化に適した研究が優先され、基礎研究などが荒廃しかねません。また大学と企業の連携では、真理探究の使命と企業利益の衝突などの弊害も生じます。これまでも研究者が製薬会社のために真実をゆがめた薬害エイズ事件などが起きています。連携を進めるなら、弊害を防ぐルールの確立が必要です。

 物づくりの基盤技術と知的財産の重要な担い手、中小企業のふさわしい位置づけや支援策もありません。大企業による下請企業の技術の海外流出など、中小企業が受けている権利侵害を正すことなしに、知的財産や産業競争力の強化はありえません。

 「基本法」は、財界・大企業の要求により政府が七月に策定した、「知的財産戦略大綱」の具体化です。「大綱」には▽国が委託した研究成果の、大企業への無償譲渡を拡大▽研究者の地位を不安定にする、大学などでの任期制の導入―など、国民の知的財産を大企業本位にゆがめる政策が列挙されています。

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 〔2002・12・7(土)〕


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