2002年12月8日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 国民生活センターが独立行政法人となるようですが、センターのこれまでの事業はどうなりますか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 国民生活センターは、一九七〇年の国民生活センター法により「国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行う」特殊法人として、国の出資を受け設立されました。消費者の苦情相談や商品調査など重要な役割を果たしていますが、十一月、日本共産党や国民の反対にもかかわらず、独立行政法人化する法律が成立しました。
政府の「特殊法人等整理合理化計画」では、同センターの独立行政法人化とあわせて▽相談事業は直接相談を段階的に縮小し、最終的には地方自治体が設置する消費生活センター経由の相談に特化する▽商品比較テストは廃止し、人の生命・身体などに重大な影響を及ぼす商品テストに特化する―など、消費者保護事業の縮小を迫っています。同センターも、今年度の事業計画から、直接相談の縮小や、商品の比較テスト廃止に着手しています。
近年の食品偽装表示や輸入野菜の農薬汚染など、消費者の不安は高まる一方です。ハイテク商品があたりまえになり、企業と消費者の情報格差も拡大してトラブルが広がっています。消費者の被害を解決し未然に防ぐ消費者行政の役割がますます重要になっているのに、苦情相談などの業務を縮小させることは行政の責任放棄です。
また、国民生活センターの商品テストは、消費者の視点から行われ、事業者や商品名も公表する数少ない商品テストとして重要な位置を占めています。消費者に商品選択の情報を提供しメーカーには製品の改善を促してきた、商品テストは存続・拡充するべきものです。
独立行政法人化で国民生活センターも外部評価が導入され、内閣府に評価機関がおかれます。消費者の立場にたつ委員が入るかどうかは、評価の性格を大きく左右します。
(博)
〔2002・12・8(日)〕