日本共産党

2002年12月11日(水)「しんぶん赤旗」

債権処理加速の会社更生法改悪とは?


 〈問い〉 不良債権処理を加速するための会社更生法改悪が成立したようですが、どう変わったのですか。(新潟・一読者)

 〈答え〉 会社更生法は「窮境にあるが再建の見込のある株式会社」の更生手続きを定めた法律です。会社更生手続きでは、関係者の利害を調整しながら事業を継続し、債務返済をしながら企業再建をはかることになります。

 不良債権処理の加速をすすめる小泉内閣は、会社更生法を全面的に書きかえた改悪案を国会に提出し、同法案は与党や民主党などの賛成で十二月六日に成立しました。労働者らの権利切り捨てで手続きの迅速化をはかるもので、日本共産党、社民党は反対しました。

 現行法では、会社の営業譲渡(事業売却)は、債権者ら関係人集会の議決と裁判所の認可で発効する、更生計画の中でしか定めることができません。改悪法は、裁判所の許可があれば更生計画の確定前でも営業譲渡を可能とします。「うま味のある部門」だけが譲渡されれば、残った部門は解体・清算されることになり、全員解雇がまちうけます。しかも、「譲渡される部門」で働く労働者の雇用が、譲渡先に継承される法的保障はまったくありません。民事再生法ではすでに同様の措置がとられていますが、手続き中の営業譲渡によって大量解雇が起きています。

 また現行法では、従業員の社内預金は、手続き中からすみやかに弁済すべき「共益債権」として、全額保護の対象でした。改悪法では、社内預金のうち六カ月分の給料に相当する額か、社内預金額の三分の一に相当する額かの、「いずれか多い額」に縮小されています。

 その一方、破たんさせた経営者の一員(取締役)であっても管財人に選任され、会社経営や更生計画の作成ができる道をつくりました。経営者の社会的道義的責任は問わず、保身・居座りを許すものです。

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 〔2002・12・11(水)〕


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