日本共産党

2002年12月13日(金)「しんぶん赤旗」

次期国会成立に執念

廃案めぐるたたかい新局面


 与党三党が有事三法案の「修正」案について会期末(十三日)ぎりぎりの十二日に衆院有事法制特別委員会での趣旨説明を強行したのは、次期通常国会での法案成立の道筋を何としてもつけたいという執念があります。

一部野党を視野

 国民の強い反対世論などを前に前通常国会で有事三法案の継続審議に追い込まれた与党は、今臨時国会での巻き返しを狙い、有事法制そのものは「必要」との立場をとる民主党など一部野党との「修正」協議に持ち込み、成立を図ろうとしました。

 臨時国会前半の十月二十九日に、与党安全保障プロジェクトチームが有事三法案の「修正」についての「考え方」をまとめ、政府も民主党などが要求していた「国民保護法制」の輪郭を作成、十一月十一日に野党側に提示しました。

 しかし、野党四党は、臨時国会で有事三法案の審議は進めないとの立場で一致して対応しました。このため、与党は今月五日、野党に提示した法案「修正」の「考え方」に対する意見を九日までに出すよう要求。十日には野党から意見がなかったなどとして、成案化した「修正」案を正式に提出しました。

 野党の意見を求め、「修正」案の成案をつくったという口実を強引につくりあげ、十二日には趣旨説明まで強行したのです。

 「修正」案は臨時国会が閉幕すれば、事実上の廃案になります。それにもかかわらず、与党は「(この臨時国会で)きちんとした修正案にして形跡を残したい」(自民党の久間章生衆院有事法制特別委筆頭理事)とし、「修正」案の提出・趣旨説明にあくまで固執しました。

焦燥感とともに

 それは、このままでは臨時国会で何の進展も図れない焦燥感とともに、次期通常国会でいつでも審議入りできる態勢をとっておく狙いがあるからです。

 「修正」案は次期通常国会で再度、同じものを提出することが可能です。臨時国会で趣旨説明という既成事実をつくりあげ、次期通常国会では“趣旨説明はすでに行っているから”という口実で審議入りし、与党単独でも一気に採決にもっていくという強硬姿勢を示して、一部野党を「修正」協議に取り込む狙いも透けてみえます。

 実際、与党からは「修正案が廃案になっても、もう一度出せばいい」(衆院有事法制特別委の与党理事)との声が上がっています。

 「修正」案は、法案の根幹概念である法案発動規定の「武力攻撃事態」を変更するというもので、政府原案の“欠陥”ぶりをみずから認めたものです。「修正」によって米国の戦争に自衛隊が武力行使をもって参戦し、国民を総動員するという危険な本質が変わるわけでもありません。

 与党三党は、五日の党首会談で有事法案について「次期通常国会で必ず成立させる」ことで合意しています。有事法案を廃案にするたたかいは新しい局面に入りました。(榎本好孝記者)


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