2002年12月14日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日米地位協定の改定を求める声が高まっていますが、地位協定による米軍の特権は、どんなものがありますか。(兵庫・一読者)
〈答え〉 安保条約第六条にもとづく日米地位協定は、米軍への基地提供やさまざまな特典、米兵らの治外法権的特権などを定めています。
日本は、米軍が使用する施設・区域を「合衆国に負担をかけないで」(二四条)提供するため、年間四千億円近く負担しています(「思いやり予算」など協定外の負担は除く)。また米軍は入港・着陸料などの料金や物品税・揮発油税などの税金を免除されています。
地位協定第三条は、アメリカが施設・区域内で「必要なすべての措置」をとれるとします。「公共の安全に妥当な顧慮」を払うはずですが、住宅密集地での夜間離着陸訓練などが横行しています。入港・着陸や移動を定めた第五条を根拠に、民間空港への米軍機着陸や危険車両の走行も日常化しています。
米軍には空を支配する航空管制の最優先権(六条)や公共サービスの優先利用権(七条)などがあります。米軍や米兵らの安全確保に協力する(二三条)ため、政府は国民を監視しています。米兵らはビザなく出入国し(九条)、アメリカの免許で車を運転します(一〇条)。
第一七条三項は、米兵らの犯罪が「公務執行中」の場合、アメリカに第一次裁判権を与えています。「公務中」かどうかは米兵の部隊指揮官が示します。日本側公訴まで被疑者を米軍のもとにおくことができ(一七条五項)、米軍の同意なしには基地内の捜査もできません(一七条一〇項)。これらが障害となり、米兵の犯罪の多くが逮捕・訴追・刑執行を免れています。
ドイツや韓国は対米交渉で地位協定を改定しましたが、日本は改定要求さえしません。九五年に米が「運用改善」を約束した後も、容疑者引き渡し拒否などがありました。今年七月に全国の知事が一致して「抜本的見直し」を決議するなど改定世論は高まっています。
(博)
〔2002・12・14(土)〕