2002年12月18日(水)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は十七日、医療制度の「抜本改革」の試案を公表しました。焦点の高齢者医療制度については、加入者の年齢構成や所得に応じて各医療保険間の格差を調整する「リスク構造調整方式」と、七十五歳以上を対象とした新しい保険制度を創設する「独立保険方式」の二つの案を併記しました。
国民健康保険、政府管掌健康保険、組合健保など全国に約五千ある保険者は、それぞれ都道府県単位を軸に再編・統合をすすめるとしました。
同省は試案をもとに来年三月末までに基本方針を策定し、二〇〇五年の通常国会に関連法案を提出、〇七年からの実施をねらっています。
高齢者医療制度では、現行の老人保健制度を廃止します。
リスク構造調整方式は、高齢者と現役世代を分離しないで、現役世代や高所得者が比較的多い組合健保や共済が、高齢者や低所得者の多い国保や政管健保を財政支援することになります。
厚労省の試算によると、保険料は現行にくらべて組合健保で総額年三千億円、共済で四千億円もの負担増となります。
独立保険方式では、七十五歳以上のお年寄り全員に保険料負担を求めます。一人あたりの保険料は平均で年八万七千円にのぼります。来年四月には介護保険料の値上げが予定され、これに続く負担増となります。
両案とも、国民の負担増は避けられません。