日本共産党

2002年12月24日(火)「しんぶん赤旗」

芸能法人の税金前納廃止

長年の要望実る大きな成果

畑野君枝


 与党は「税制改革大綱」をまとめましたが、芸能法人への不当な税制である税金前納(一般企業にはない公演料等の10%先取り)廃止が掲げられています。二〇〇三年四月一日以降の実施をめざすとしています。芸術・文化団体の長年の要望がやっと実った大きな成果で、大変喜ばしいことです。

企業と違う課税

 所得税法一七四条第一〇項では、「映画又は演劇の俳優その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金」についての税金は前納するよう規定され、芸能法人には一般企業とは違う課税がなされてきました。国税庁でもこの一七四条第一〇項に該当する芸能法人数の実態把握はしていません。

 約七万人の実演家を擁する芸団協(日本芸能実演家団体協議会)は、この実態の改正のために、長年要望を出していました。今年十一月の平成十五年度税制改正要望では、この税制は「中立でない、芸能の差別税制」とし、芸能の社会・経済的な位置は大きく変わり社会発展に大きく貢献していると述べ、運動が強められていました。

 また、日本共産党国会議員団が今年十一月七日に開催した「日本芸術文化振興会の独立行政法人化と公的支援を考える懇談会」でも、日本俳優連合から、所得税法一七四条第一〇項撤廃を訴えられたところです。

地位向上のため

 私たちは、昨年十二月施行された文化芸術振興基本法の趣旨に基づき、芸術家等の「地位向上」のため必要な税制や法制を改正するよう訴えてきました。

 また、私は、今年六月十一日の参議院文教科学委員会で「文化振興と言って国では芸術団体の助成もやって、そして書類も出して申請してもらう。その一方で、税制上は信用できないから先に取る。こんな差別的なことがありますか」「この二十一世紀にふさわしいのか」と質問。財務省主税局長は、国税庁など関係者で「勉強」していくと答弁していました。

 その後、文部科学省が平成十五年度税制改正要望に初めて、廃止を掲げ、今回の実現につながりました。

 文化芸術振興基本法の第六条では、「政府は、文化芸術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない」としています。

 今後さらに、芸術・文化団体への寄付に税制優遇をするなど、税制支援の取り組みを強めていきたいと考えます。(参議院議員)


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