日本共産党

2003年1月8日(水)「しんぶん赤旗」

削減が狙われる義務教育費国庫負担とは?


 〈問い〉 来年度予算案で義務教育費の国庫負担が削減されていますが、どんな影響がでるのでしょうか。(千葉・一読者)

 〈答え〉 日本国憲法は第二六条で、義務教育の無償を定めています。国民に基礎的な教育を無償で保障するのは、国と自治体の責務です。

 そのため、公立小中学校の設置や管理は住民に身近な市町村がにない、その教職員の人件費は都道府県が出しますが、国が人件費の二分の一を負担しています。義務教育費の国庫負担とは、このことをさします。市町村の財政力の格差などによって教育条件が左右されないよう、教育の機会均等と教育水準の維持向上をはかる見地から、国がその役割を果たすものです。このしくみは戦後およそ半世紀にわたって、日本の教育制度を支えてきました。

 昨年十二月に政府が発表した二〇〇三年度政府予算案は、教職員の共済費(年金積み立て金)と公務災害補償基金を、国庫負担の対象から外し二千百八十四億円削減します。文部科学省は〇六年度までに退職手当など約五千億円を削減する計画で、今回はその第一歩です。

 削減分は当面、使途を特定しない「一般財源」として地方交付税などで手当てしますが、削減分の八分の一にあたる二百七十三億円は地方の負担です。全国的な教育水準の維持・確保のため国が責任を負ってきたものが自治体まかせとなり、地方の財政状態などで格差が生じることになります。義務教育のあり方を変質させるものです。

 この削減計画は、昨年六月に小泉内閣が発表した「第二次・骨太の方針」が発端です。「骨太方針」は、〇六年度までに国庫補助負担金の「数兆円規模の削減」をめざしています。国庫負担金の七割は社会保障や教育関係費で、義務教育費削減にはこれらを一気に切り捨てるねらいが込められています。

 国が財政責任を果たさないなか、少人数学級へ独自にとりくんでいる地方の努力にも、背を向けるものです。

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 〔2003・1・8(水)〕


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