日本共産党

2003年1月9日(木)「しんぶん赤旗」

「自然再生推進法」ができたが…


 <問い> 与党提出の自然再生推進法という法律が、昨年成立したそうですが、何をしようというのですか。(東京・一読者)

 <答え> 自民党・公明党と民主党が昨年の国会に提出した自然再生推進法は、部分修正を経て十二月に成立しました。この法律は、目的に「生物の多様性の確保」「自然再生」をかかげ、施策の総合的な推進をうたっていますが、いまの公共事業を見直すことは含まれていません。むしろ「再生」を名目にした新手の公共事業の登場が懸念されています。日本共産党は全面的な修正案を提出し、原案に反対しました。

 同法では、政府が「自然再生基本方針」を定め、関係省庁などが事業を具体化します。「基本方針」は、環境省が国土交通省や農林水産省と協議して原案を作成しますが、どこで、どんな「自然再生」をするのかなどは示しません。「自然再生」を実施する場所や内容は、国交省・農水省などの事業実施者が中心に作成する、「全体構想」や「事業実施計画」で定めることになっています。

 全体構想や事業実施計画を協議する「自然再生協議会」が設けられ、地域住民や特定非営利活動法人(NPO法人)も参加することになっていますが、これも事業実施者が事業を進めるために組織するものです。大型公共事業などによる自然破壊に対して、国民の側から、自然環境の復元を求めるしくみはありません。

 かんじんの対象地域の選定や事業内容の決定が、事業を実施する国交省・農水省などにゆだねられていることは、同法の重大な欠陥です。

 また、どこで、どのような自然再生が必要かについて科学的な調査が不可欠ですが、そのプロセスも欠落しています。自然環境の専門家からなる「自然再生専門家会議」が設けられますが、環境省・国交省・農水省が合同で設置するもので、公共事業官庁からの独立性にも欠けます。

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 〔2003・1・9(木)〕


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